水浄化技術の基礎

※本ページは『水浄化フォーラム』より転載しています。
<謝辞>
 「水」の安全確保と環境保全に係る知識と技術を、「水の浄化」に関わる方への参考となるサイトとして『水浄化フォーラム』を執筆・編集・管理いただいている
 環境技術学会 村上理事に心より感謝申し上げます。

 

 

1.はじめに

水処理には、水利用のための用水処理と利用されたあとの排水処理がある。
ここでは、排水を中心に汚濁物質を除去するための処理技術の概要を述べる。
汚濁物質の処理技術は多岐にわたり、

 ①生活系か産業系か
 ②汚濁物質は有機性か無機性か、懸濁性か溶解性か、化学分解性か生物分解性か
 ③汚濁物質の濃度、排水量、排出基準
などにより適用される技術も異なり、通常いくつもの要素技術の組み合せにより処理工程が構成される。水処理の要素技術は、表1に示すように様々な原理に基づいており、これらは物理法、物理化学法、化学法、生物法に分類される。発生する排水の水質に応じた最も適切な方法を選択して組み合せ、効果的で経済的な処理工程が採用される。

 

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表1 水処理の原理と要素技術

 

2.懸濁性物質の除去

 水処理では有機・無機を問わず汚濁物質を水に不溶性の固形物の形に変えて水と分離するのが原則である。例えば、重金属イオンの除去ではpH調整による水酸化物沈殿又は陰イオン添加による不溶性塩を析出させ、固液分離する。
 水中の汚濁物質は密度差を利用して沈降または浮上させて除去する。また、ろ材を充填した層内に水を通してこの層内に懸濁物質を捕捉させたり、あるいは微細な孔を通して懸濁粒子の通過を阻止して取り除くといったろ過がある。ろ過の中には、コロイド粒子から分子・イオンまでも除去する膜分離がある。さらに、水を蒸発して溶解物質や懸濁物質を乾固して取り出す方法もある。

 

​2-1.沈降分離

 水よりも密度が大きな物質を、水との密度差を利用して沈降させる方法である。水を一定の場所に長時間滞留させるか、非常にゆっくりと流して浮遊物質を沈殿させる。沈降分離は普通沈殿と後で述べる凝集分離とに分けられる。普通沈殿は凝集沈殿操作を施さずにそのまま沈降分離させるもので、自然沈降とも呼ばれる。
 普通沈殿における固形物の分離効率は、固形物の沈降速度分布と装置の表面負荷によって決まる。上昇流式沈殿池では、沈降速度が水の上昇速度より大きい粒子はすべて沈降分離され、水の上昇速度より小さい粒子はすべて流出する。懸濁物質の沈降速度分布を求めて、沈殿池の設計を行う。
 なお、沈降分離については、沈殿池の基礎で詳しく解説しているので、参考とされたい。

 

​2-2.凝集分離

 水中の浮遊物質の粒径が小さく、前述の自然沈殿では処理に長時間を要し、処理効率が悪い場合に行われる。一般に水中に浮遊している微粒子の表面は帯電している。これに反対電荷を持つ薬品を添加して、目的粒子の電荷を中和すると、粒子間の引力が表面荷電による反発力を上回るようになり微粒子同士が凝集して大きな塊(フロック)へと成長していく。このような目的に用いられる薬品を凝集剤と呼ぶ。
 水処理には安価で無害である鉄又はアルミニウムの無機塩類が用いられる。高分子凝集剤は少量の添加量で凝集効果があり、しかも大きなフロックができる特徴がある。高分子凝集剤には、陽イオン性、陰イオン性及び非イオン性に分類され、さらにその分子量や分岐によって多くの種類があり、懸濁物質の種類により選択する。
 なお、凝集分離については、分散・懸濁微粒子で詳しく解説しているので、参考とされたい。

 

​2-3.浮上分離

 水中の懸濁物質の密度が水より小さければ、水面に浮くことになるので、浮上させて分離することが可能である。対象物質としては、油類がその代表的なものである。
 また、密度が水よりも大きい懸濁物質であっても、空気の泡を懸濁物質に付着させれば、速やかに浮上する。水中に微細な空気を発生されるには、空気をいったん加圧して水に溶解してから大気圧に解放して微細な気泡を発生させる加圧浮上法の他に、水の電気分解による水素や酸素の微細気泡を利用する方法もある。浮上分離においては、コロイド状の懸濁粒子は分離できないので、あらかじめ凝集処理をしておく必要がある。

 

​2-4.清澄ろ過

 重力式分離(沈降、浮上)で除去できなかった微量の懸濁物質を、さらに清澄な水を得るのが清澄ろ過である。ろ材としては一般に砂が用いられるので、砂ろ過とも呼ばれる。砂ろ過では懸濁粒子はろ材間の空隙に捕捉される。ろ過を続けているうちに、ろ過抵抗が上昇しろ過水の濁度も上昇してくる。ろ過抵抗又はろ過水濁度のいずれかが設定値に達したら、ろ過を中断してろ材を充填した層(ろ層)を洗浄する。この洗浄をろ層の再生という。原水中の懸濁物質の濃度が高いと短時間でろ層が閉塞するので、一般には重力式分離の後に砂ろ過を行う。
 

​2-5.膜分離

 図1に示すように極めて微細な穴を持つ膜を通して水をろ過し、細菌のようなコロイド次元の大きさの懸濁固形物から溶解性物質やイオン物質に至る不純物を除去する技術を膜分離法という。使用する穴の大きさによって、精密ろ過(MF)、限外ろ過(UF)、ナノろ過(NF)、逆浸透(RO)などがある。これらはろ過の駆動力として圧力差を用いている。その他、直流電圧を駆動力とし、イオン交換膜(アニオン膜、カチオン膜)を用いる電気透析法がある。
 

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図1 分離膜による微細粒子の分離機構

 精密ろ過は0.025~10μmの懸濁粒子や細菌などの除去に、限外ろ過は多糖類やタンパク質のような水溶性の高分子物質(分子量1,000~300,000)の除去に用いられているが、最近ではそれらの中間領域の膜が盛んに開発されており、厳密に区別することが困難となっている。膜の材質としては有機及び無機のものが用いられている。膜の細孔径を表すのに、精密ろ過の場合には粒子サイズ既知のラテックスを用いて分画試験を行い、一定の阻止率を与える粒子サイズをもって代表孔径としている。限外ろ過膜の場合はポリエチレングリコールのような分子量既知の物質をトレーサーとして用い、一定の阻止率を与える分子量をその膜の分画分子量とする。
 ナノろ過は、限外ろ過と逆浸透の中間に位置するものであり、逆浸透に比べて小さい駆動力で低分子の物質を除去することができる。
 水は透過するが、溶質はほとんど透過しない性質を持った膜を逆浸透(半透)膜という。この膜を介して水と溶液を置くと、水だけが溶液側に移動し、ある高さで平衡に達する。このときの水位差を浸透圧といい、溶液の濃度が高いほど高くなる。このとき溶液側に浸透圧以上の圧力をかけると、水溶液側の水だけが半透膜を透過して水側に移動する。このようにして、無機塩類や低分子有機物の水溶液から水だけを取り出すことが可能となる。これが逆浸透膜の原理である。
 膜を要素技術として装置化したものを膜モジュールという。現在実用化されている膜モジュールには平膜型、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型などがある。平膜型は膜を装着した透水性の多孔板の両面にスペーサーを介して多数重ね合わせたもの、スパイラル型は多孔性支持材を内蔵した封筒状の膜をのり巻き状に巻き込んだもの、チューブラー型は多孔性の耐圧支持管の外側又は内側に膜を装着したもの、中空糸は外径1300μm内径700μmくらいのマカロニ状の細長い中空の膜を多数束ねたものである。
 なお、分離膜と微細粒子除去および膜分離活性汚泥法の実験については、別途記載してあるので参考にされたい。

 

​2-6.蒸発乾固

 濃厚溶液の場合には、水分を蒸発させて懸濁性及び溶解性の両成分を乾固させる方法が用いられる。水分の蒸発には加熱法と冷凍法がある。水分の蒸発には、多大なエネルギーを必要とするが、汚濁物質が濃厚(重量濃度が数~数十%)場合や有効な処理方法のない汚濁物質の処理に有効である。

 

3.溶解性物質の除去

 水中に溶解した物質を化学反応により無害な物質へ変換したり、不溶性塩の沈殿を生成させて分離したり、固体へ吸着したりして汚濁物質を除く方法である。また、溶解性有機物は微生物に摂取させ、増殖した菌体を固液分離して取り除く。
 

​3-1.中和

 多くの水生動物、農作物に対して望ましいpHは5.8~8.6であるとされる。pHの調整は単に放流水だけを対象とするものではなく、生物学的処理や凝集沈殿などの処理を効果的に行う前処理としても重要である。
 中和剤の選定においては、反応速度、中和曲線、反応生成物の沈降・脱水性などを検討して、最も経済的なものを選ぶ。アルカリ剤としては、水酸化ナトリム、炭酸ナトリム、生石灰CaO、消石灰Ca(OH)2、水酸化マグネシウムMg(OH)2などが、酸として硫酸、塩酸などが用いられる。
 酸-アルカリの中和反応において、不溶性塩を生成しない中和剤を選ぶ場合と積極的に不溶性塩を生成させる場合がある。ナトリム化合物は不溶性塩の形成がないが、硫酸イオンや炭酸イオンを多量含む酸性排水に対して生石灰や消石灰を用いると硫酸カルシウムの沈殿が生成する。

 

​3-2.酸化

 水質汚濁の指標としてCODやBODが用いられるように、汚濁物質の酸化は水処理分野において重要な処理プロセスである。
 塩素や次亜塩素酸ナトリウムは他の酸化剤と比べて安価であり、強力な殺菌作用をもち処理水の消毒、また、水中の有機物や硫化水素、シアンなどの酸化分解などに用いられ、水処理においては不可欠の酸化剤である。
 オゾンは塩素より強い酸化力を有し、次のような利点がある。オゾンの発生量は電力により調整できる。水中では短時間で分解消滅する。塩素のように有機物と反応して有機塩素化合物を生じるおそれがない。
 そのほか、硫酸酸性で第一鉄塩と過酸化水素を用いるフェントン法、オゾンと紫外線の併用など複数の要素を組み合わせ酸化力を促進する方法がある。
 化学酸化は難生分解性有機物、例えば、芳香族化合物や第4級アミンなど、を生分解性物質へ改質する処理法としても用いられる。図1に電解塩素を酸化剤とする有機物の有機酸への改質例を示す。

 

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図1 電解塩素による有機物の酸化機構

​3-3.不溶性塩

 例えば、カドミウムイオンに対して、硫化物イオンを添加すると硫化カドミウムの沈殿が生成する。また、重金属イオンを中和すると水酸化物の沈殿が生成する。溶解度の低い不溶性塩を形成するようなイオンを添加したり、pHを調整することにより不溶性塩の沈殿を形成させ、水中から汚濁物質を除くことができる。
 また、微量の重金属イオンを含む排水に、鉄(Ⅱ)塩を添加して中和・空気酸化して水酸化鉄(Ⅲ)とともに沈殿させる共沈殿法もある。

 

​3-4.吸着

 生物学的あるいは物理・化学的な方法でも分離できないような微量の有機化合物を除去するために吸着法が用いられる。吸着剤として活性炭が最も広く用いられている。活性炭の内部には10-7~10-3cmの細孔が無数に存在し、その比表面積は500~1500m2/gと極めて大きい。
 図2に活性炭の構造とその層状構造内への分子の取り込みの様子を示す。活性炭への吸着されやすさは次のようになる。脂肪族化合物より芳香族化合物のほうが吸着されやすい。疎水性であるほど吸着されやすく、脂肪族のアルキル基が長いほど疎水性となり、吸着性を増す。
 溶液の表面張力を減少させる物質を界面活性であるといい、界面活性が強い物質ほど、吸着されやすい。弱電解質の有機物は、イオン化しているものより非解離の分子状態での吸着力が大きい。極性が大きい分子は吸着力が弱い。分子量が大きくなるほど、吸着性が増すが、細孔内の拡散速度が遅くなり、分子量が1500を超えると著しく遅くなるといわれている。
 吸着装置としては、反応槽内の被処理水に粒子状の活性炭を添加し機械的に水と活性炭を混合し吸着終了後に活性炭を沈降分離する方式や、塊状の活性炭充填槽に排水を通水して有機物を吸着させる方式などがある。

 

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図2 活性炭による分子の吸着機構

​3-5.イオン交換

 図3に示すように、固液2相間においてイオンが互いに入れ替わる反応をイオン交換反応という。このイオン交換をする母体をイオン交換体と呼び、最近では、有機合成によって作られたイオン交換樹脂が用いられている。
 イオン交換樹脂は、排水から有価物の回収、微量の重金属イオンの除去などに用いられている。イオン交換樹脂は高価であるから、再生して繰り返し利用される。再生には強酸、強アルカリあるいは食塩などの濃厚溶液が使用され、したがって濃厚な再生液の処理が必要である。

 

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図3 イオン交換による陽イオンの除去機構

 

4.生物技術

 生物を用いた水の浄化には、微生物の種類及びその培養法により表1に示すように分類される。
 有機物の分解やその増殖に酸素を必要とする微生物を用いる好気性生物処理と、酸素を必要としない微生物を用いる嫌気性生物処理に分けられる。
 また、適用する微生物を生物反応槽内の水中に懸濁状態で維持する浮遊型処理法と微生物を媒体に付着させて維持する付着型処理法に分けられる。付着型は生物膜法とも呼ばれる。
 好気性生物処理には浮遊型として代表的なものに活性汚泥法、付着型として散水ろ床法、回転円板法、接触曝気法などがある。
 生物処理では、汚濁物質を微生物に摂取させて無害な物質に代謝分解するが、その際に微生物が増殖するため、この増殖した微生物(生物汚泥)の取り出し・処分が必要になる。
 水浄化に係る生物技術の詳細は、別ページに記載されているので参照されたい(実験技術および技術解説)。

 

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表1 生物学的排水処理法

​4-1.活性汚泥法

 下水や産業排水の処理に広く用いられている活性汚泥法の装置を図1に示す。土砂や紙などの異物を除いた排水は最初沈殿池に送られ、固形物質、油分などが除去されて、生物反応槽(曝気槽)に導かれ曝気攪拌下で微生物フロック(活性汚泥)と接触する(滞留時間4~24時間)。
 ここで排水中の有機物は活性汚泥により吸着・摂取・分解される。活性汚泥混合液は、次の最終沈殿池で重力沈降(沈降時間2~3時間)により活性汚泥と処理水とに分離され、処理水は塩素殺菌されて放流される。この活性汚泥処理では排水中のBODは95%以上が除去される。
 一方、活性汚泥の一部は返送汚泥として曝気槽に戻され、残りは余剰汚泥として、最初沈殿池で除去された固形物質(初沈汚泥)ともに系外に排出されて別途に処理・処分される。活性汚泥法を用いた下水処理場では、処理水量の1~2%の混合汚泥が発生している。通常、この混合汚泥は濃縮、消化(嫌気性処理により、有機物の一部をメタンや二酸化炭素へ変換して除去する)、洗浄、脱水、乾燥の後、焼却され、最後に残った灰分は埋立処分される。最近では、混合汚泥の一部は肥料、大部分の焼却灰分は建設資材の原料として有効利用されている。

 

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図1 活性汚泥法による排水処理例

​4-2.生物膜法

 活性汚泥法では処理にかかわる微生物を水とともに流動させるのに対し、微生物を支持体(あるいは接触材)である個体表面に膜状あるいは塊状に固定して処理を行う方法があり、これを生物膜法という。微生物の支持体は、材質、形状、構造も様々なものが用いられ、この支持体を装置内に充填した部分をろ床という。代表的な生物膜法として散水ろ床法、浸漬ろ床法(または接触曝気法)、回転円板法がある。散水ろ床法及び浸漬ろ床の装置を図2に示す。
 生物膜法の特徴は生物相の多様性にあり、原生動物から昆虫のような小動物、さらに細菌も好気性、嫌気性と処理装置ごとに一つの生態系が成立している。活性汚泥法では微生物が余剰汚泥として抜き取られので、装置内である滞留時間を持つのに対して、生物膜は装置内に長時間留まって保持される部分があり、アンモニアの酸化(硝化)が容易に進行する。また、食物連鎖も加わり、活性汚泥法より余剰汚泥量が少ない。阻害物質に対する抵抗力も強く、運転が簡単であることが特徴である。

 

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図1 電解塩素による有機物の酸化機構

​4-3.嫌気性生物処理

 嫌気性生物処理は嫌気性消化法とも呼ばれ、固形状や溶解性の有機物を嫌気性細菌の作用によりメタンや二酸化炭素に還元分解するもので、メタン発酵法によって代表される。図3に嫌気性消化法の一例を示す。嫌気性消化槽内の反応は図4に示すように三段階で行われる。第一段では炭水化物、タンパク質、脂質などが加水分解酵素により単糖類、アミノ酸、脂肪酸などの低分子物質に変換される過程である。第二段階でこれらの低分子物質が有機酸へ変換され、第三段階(メタン発酵)では有機酸がメタンと二酸化炭素へ変換される。
 嫌気性生物処理の最も大きな特徴は、曝気を必要とする好気性生物処理に比べて所要電力が少ないことと同時に、回収したメタンガスが燃料や電気などのエネルギー源として利用できることである。
 近年、原水滞留時間と汚泥(微生物)滞留時間を独立して制御することにより、反応槽内に高濃度の微生物を固定・保持して処理効率を高める方式が嫌気性処理の分野でも試みられている。生物の固定化技術、汚泥の自己造粒化技術などが開発され、溶解性の易生分解性有機性排水の処理を中心に、従来の嫌気法に比べて数倍から数十倍の処理能力を持つ嫌気処理法が開発されている。適用範囲も従来の中・高濃度排水中心から、低濃度排水や化学系排水へも徐々に拡大されつつある。BOD濃度が1,000mg/L以上の場合、嫌気性生物処理が経済的に有利になるといわれているが、今後、BOD低濃度の排水処理への応用が期待される。

 

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図3 嫌気性消化法による有機性排水の処理例

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図4 嫌気性消化による有機物の分解過程
(参考:用水廃水便覧編集委員会、用水廃水便覧、丸善、p.423、1973)

​4-4.生物学的窒素・リン除去

 窒素は硝化-脱窒法と呼ばれる生物法により除去される。まず、アンモニアは好気性微生物(硝化菌)によって硝酸イオンに酸化される。次に、硝酸イオンは通性嫌気性菌(脱膣菌)により有機炭素をエネルギー源として窒素分子に還元される。
 活性汚泥を嫌気および好気の条件に交互にさらすことにより、リンを除去することができる。嫌気状態では細胞中のリンは溶解性リンとして溶出され、逆に好気状態ではリンは細胞内に取り込まれる。リンを過剰に含む汚泥を引き抜くか、または溶出したリンを不溶性塩として分離することにより、排水中からリンを除去することができる。

 

 

5.汚泥処理と有効利用

 排水処理においては、汚濁物質の除去に伴いその副産物が生じ、この副産物を汚泥といい、産業廃棄物の中で最大の割合を占めている。この汚泥の大部分は濃縮・脱水・焼却などにより減容化され、最後に残った灰分は埋立処分されている。今日、この汚泥からエネルギーの回収、堆肥、セメント原料、建設資材などへの有効利用が図られている。図1に汚泥処理と有効利用の概略を示す。
 

図4 嫌気性消化による有機物の分解過程.jpg

図1 排水処理汚泥の処理と有効利用

 

​6.水処理の計画

 水処理を計画する場合の大まかな手順を図1に示して説明する。まず、上水・下水等では沈砂池で砂を除去し、スクリーンで夾雑物を除去する。次に。水中の固形分を分離除去する。固形分が粗大粒子である場合には、沈降分離あるいは浮上分離を採用する。溶解性物質が特殊な物質には膜分離を適用するが、通常、生分解性であるかどうかにより、処理法が異なる。
 生分解性物質の場合には、汚濁物質の濃度は高い排水(BODおよそ1,000mg/L以上)には嫌気性生物法が採用され、濃度が低い排水には好気性生物法が採用される。嫌気性生物法では目標の水質が達成されないことが多く、後段に好気性生物法を採用することが多い。汚濁物質が、難生分解性の場合には、酸化、吸着、不溶性塩などの物理化学あるいは化学法により除去する。また、有機化合物の場合には高温高圧水やオゾンにより易生分解性中間体へ改質して生物処理する方法もある。一般に、処理コストは固液分離、生物処理、物理化学処理の順に高くなるので、この順に従って、処理計画を立てるのが一般的な手順である。

 

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図1 水中の汚濁物質の処理手順